心とカラダにおいしい食事学
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いま、キノコの驚異的な薬効が注目されている!

イラスト
森野真由美・栄養管理士
志賀 均・イラストレーション
写真
もりの・まゆみ
長崎県佐世保市生まれ。
1972年、女子栄養大学卒業後、同大学栄養クリニックにて20年にわたって、成人病などの食事療法の指導に当たるほか講師を勤める。92年退職後、栄養・健康に関する「(株)バイワネル」を設立。現在は企業、スポーツクラブ、新聞、雑誌、TV、講演などで幅広く栄養指導。主な著書に『決定版やせる食べ方』『おいしく食べる高血圧症の食事』『胃腸病の食事』など多数ある。女子栄養大学、杉野女子大学などの非常勤講師。
おいしい食物繊維とビタミンDをたっぷり食べる

 キノコ類は、数年前まではノーエネルギーの食品として扱われていました。その理由は、人体実験によって得られたエネルギー利用率に個人差があったり、変動が大きく、一定の数値を定められなかったので、エネルギー値を表示しなかったからです。
 しかし一方では、たんぱく質や脂肪が微量ながらも含まれているので、エネルギーがゼロということには疑問視されていました。
 そこで1997年7月から、暫定的にエネルギー値を表示することになりました。
 五訂食品成分表に数値が載っていますが、大体100g中20キロカロリーくらいです。だから、やはり低カロリー食品であることに間違いはありません。食物繊維の働きが脚光を浴びるまでは、キノコ類は栄養価としてはビタミンDが多いことが特徴くらいで、もっぱら嗜好品的あつかいの食品でした。
 香り、歯ごたえ、うまみは他の食品とは別格のものです。「香り松たけ、味しめじ」といわれるように、キノコの種類によって楽しみ方もいろいろですね。
 健康ブームに乗って、キノコの種類が増え、産地も広がりました。
 松たけには、生産量の少なさから高嶺の花の国産、香りが落ちる分だけ安価な韓国産、中国産、カナダ産とがあります。国産ものは以前では年間5000トン以上の生産量だったそうですが、近年は200〜300トンに激減しているとか、残念です。
 松たけに匹敵するヨーロッパのキノコは、「食卓のダイヤモンド」の別名を持つトリュフです。フランスやイタリアの高級料理店で食べられますが、オリーブ油に漬け込んだペースト状のものは、イタリアのお土産屋さんで買うことができます。
 私も、ローマからフィレンツェに行く途中のお店で買いました。トリュフの中でもさらに高級のものは夏トリュフ、白トリュフ、ペリゴールトリュフです。イタリアに行く機会があれば、ぜひ見てください。
 トリュフの見つけ方はユニークで、収穫には雌豚を主に使います。最近は犬も使うそうです。トリュフには独自の香り成分であるα-アンドロステロールが含まれるので、その香りを鼻の効く豚や犬がかぎつけるのですね。そして、その上前をはねて食べるのは人間ですが…。
 イタリアにはポルチーニというキノコもあり、比較的安いので、私は干したものをたくさん購入してきました。
 水でもどして、トマトソースで煮込み、スパゲッティにかけて食べると、とても美味です。でも、私が日本人だからでしょうか、香りもうまみも、しいたけやしめじ、まいたけのほうが勝ち! と思います。
 嗜好品的価値では、松たけやトリュフに負けるかもしれませんが、栄養的価値はしいたけ、まいたけなどの庶民的なキノコにあります。
 なにより安価なので、たっぷり食べられるのが魅力です。その分、栄養素もたっぷり摂取できますから、うれしいですね。どんなに栄養素がいいといわれても、ちょっぴりの量ではあまり期待できませんものね。

キノコのガン抑制効果は科学的にも実証された

 キノコの健康効果で、いま注目されているのはガン抑制効果です。昔から健康食として知られているキノコがありました。
 霊芝(レイシ)や猪苓(チョレイマイタケ)、茯苓(ブクリョウ)などといわれる猿の腰かけというキノコの仲間で、これは皆さんも漢方で馴染みのものです。
 これらは、昔からガンに効くという言い伝えがありました。実際の研究でも、これらのキノコから「レンチナン」「クレスチン」などの抗ガン剤が作られています。キノコに含まれる多糖類の一種であるレンチナンに、抗ガン作用があるからです。
 レンチナンは香りの主成分です。その成分こそが免疫細胞であるTリンパ細胞やマクロファージ(ガン細胞や細菌、ウイルスなど体内に侵入した異物などを食べて処理する働きがある)を活性化して、異物に対する抵抗力を高める作用があるのです。つまり、それがガン予防の面でも期待できるのです。
 多糖類というのは、糖がたくさん結合している炭水化物のことで、でんぷんはその代表的なものです。
 同じ多糖類でも、でんぷんなどにガン抑制効果がなくて、キノコにある理由は、糖の結合の仕方によって性質が異なることによるのです。
 また多糖類以外にも、キノコに含まれる他の糖やたんぱく質と多糖類の複合体、たんぱく質、ステロイド酸化物、脂質、食物繊維などに抗ガン作用が認められています。

コレステロールも、エイズウイルスも抑制する凄い効果

 キノコに含まれる多糖類レンチナンには、エイズウイルスの増殖をかなり抑制する効果があることも明らかになったそうです。また、しいたけに含まれるエリタデニンにはコレステロール低下作用もあり、キノコの薬理作用が、どんどん見直されてきています。
 栄養価で期待できるのは、ご存知ビタミンDです。腸管からのカルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にし、骨粗しょう症を予防します。
 ビタミンDの成人の1日所要量は100IUですが、しいたけなら5枚、しめじなら半パック、まいたけなら1パックで摂取することができます。
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 天日干しにして紫外線を浴びると、ビタミンDは増える性質があります。ですから、干ししいたけはビタミンDが多いだけでなく、乾燥することによって香りも強くなり、料理のおいしさも一段とアップ。まさに一石二鳥の食品ですね。だからでしょうか、値段が少々高くなるのも仕方ありません。
 しいたけでおいしいのは、寒いときに成長し、傘が開いていない肉厚の「冬茹」です。それよりも値段が安いのは「香信」といって、傘が開き、肉薄のものです。
 口内炎や肌荒れ、ニキビを防止するビタミンB2もキノコに多く含まれています。とくにマッシュルームやまいたけ、しめじには多く含まれています。
 これから冬の季節、なべ料理に数種類のキノコをたっぷりいれてください。食物繊維もたっぷり含まれ、低カロリー食品なので、ダイエットの強い味方です。
 ただし、キノコ類はよくかんで食べることです。早食いは、とくにいけません。なめこのヌルヌル物質は、水溶性の食物繊維であるペクチンです。
 きくらげは乾物で売られていますが、最近では生も見かけます。歯ごたえ抜群のキノコです。黒と白があり、白きくらげは、半透明ゼリー質で、楊貴妃ご愛用の不老長寿の食品として珍重されていました。いまでも甘いデザートなどに利用されています。
 キノコは肉などに比べると、カロリーがない割に値段が高いのですが、病気を日頃から予防することを考えれば、安いものです。1日に3分の1パックを目安に食べましょう。


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