いま食べられる至福を味わう 夏の食欲のないときでも、そうめんや冷麦、うどんなどの麺類は、のど越しよく食べることができます。夏バテ防止に大いに役立つ強い味方ですね。 家庭での夏麺といえば、そうめんが一般的ですが、私はうどんを食べるのも好きです。うどんの東西の横綱をあげれば、手に入りやすさと知名度からいって、東は秋田県の稲庭うどん、西は香川県の讃岐うどんではないでしょうか? 私はこの2年間、仕事でたびたび秋田県を訪れているのですが、稲庭うどんをたっぷり食べています。 飲んだあとやホテルの朝食バイキングで、また昼食にもよく食べています。つやがあってコシがあり、つるつるとした滑らかさは絶品ですね。 稲庭うどんの知名度は、知る人ぞ知る程度の時代がありました。その理由は、生産業者が少なかったことと、3時間にもおよぶ練り工程が手作業であるために、大量生産ができなかったからだと聞きました。だから、高級うどんとして、ごく一部の料亭などでしか食べることができなかったのです。 17世紀ごろ、秋田県稲庭村(現在の稲庭町)は、良質の水と空気と小麦粉に恵まれていたことから、藩主の命令で稲庭うどんが作られるようになったのです。 しかし、庶民の口に入ることはなく、献上品、贈答品として高嶺の花だったそうです。当時にくらべれば、いまは幸せな時代ですね。デパートやスーパーで、誰でも簡単に手に入るようになりました。ですから、私たちもその恩恵をたっぷり味わいたいものです。 うどんは、食べたくなったら数分間ゆでるだけ。めんつゆですぐに食べられるという簡便さは、なんといっても得がたいものです。 最近はもっと便利になって、冷凍うどんが出まわっています。ゆで時間はさらに短く、1分でOKという脅威の早さです。これは群を抜いています。しかも、おいしくて安いのですから、使わない手はないでしょう。私も必ず常備しておき、忙しい朝食などに重宝しています。 冷凍うどんはコシがあり、麺が透明な感じがしていることにお気づきですか? その秘密は、タピオカ澱粉が入っているからなのです。くわしく説明しましょう。 冷凍うどんを美味にする秘密 タピオカの意外な効用
タピオカは、熱帯地方で栽培されているキャッサバイモの澱粉です。ブラジル原産で、アメリカ・インディアンの主食のひとつだったものです。日本は、タイなどの東南アジアから輸入しています。 タピオカの白や黒色の丸い粒状は、デザートにも用いられており、皆さんも、よくご存じの食べ物ですね。私も好物です。 中国語では珍珠と書きます。黒いタピオカ入りのミルクティーは、台湾で数年前にブレイクして以来、東南アジアのスイーツとして定番になりました。 タピオカは澱粉ですから、とても消化がよく、病人食に用いられていました。そして、いまでは食感がよくなるので、うどんやパンに混ぜて練りこんでいるのです。 タピオカは安く手に入ります。ですから、冷凍うどんの材料として練りこんでも、値段が上がらなくてすんでいるのです。これは、とてもうれしいことですね。 じつは本日、NHK出版から出版する『腎臓病の食事の本』(仮タイトル、12月発行予定)の撮影を終えたばかりなのです。 慢性腎臓病の食事の基本は、低たんぱく質、低塩分なので、米や麺に含まれるたんぱく質の量も気になるのです。 そこで、特殊な米やうどんを用いるようにしているのですが、それは澱粉を添加してあるものが条件なのです。ということは、ご飯やうどん、そばに透明感がでてきます。味もそこそこにおいしいものです。こうして、澱粉の持つ特性を利用した食品が増えてきているのが現状なのです。 比内地鶏の汁で食べた 稲庭うどんは格別だった 秋田県でもっとも有名な食べ物は、秋田比内地鶏でしょう。三大美味鶏肉のひとつです。 鹿児島県の薩摩シャモ、愛知県の名古屋コーチンとともに、味と値段もトップランクの鶏肉ですね。 稲庭うどんを比内地鶏汁で食べるなんて、なんと贅沢なんでしょう。たまらないおいしさです。私は、思わず日本人でよかった! と心の中で叫んでしまいました。 ところで、比内地鶏と比内鶏とを混同していませんか。間違っている人が多いのですが、これは、まったく異なるものなのです。 比内鶏は、昭和17年に国の天然記念物に指定されてから、食べることが禁止されています。食べられるのは比内地鶏なのです。比内地鶏は、雄の比内鶏と雌のロードアイランレッド種を交配し、放し飼いで飼育したものです。 2000年にドイツで開催された「料理オリンピック」で、秋田比内地鶏は金メダルを獲得しました。世界レベルの味に育て上げた秋田県の方々に、拍手を送りましょう。 郷土色豊かな、いぶりがっこ、 トンブリ、ジュンサイを堪能 秋田のうどん屋さんで出てきた「いぶりがっこ」も私の好きな味です。きびしい長い冬の秋田ならではの加工品です。 囲炉裏の上につるして、燻した大根を漬けたものです。「がっこ」とは漬けものという意味なのです。この燻製のたくわんは、かみごたえ抜群で、箸休めに食べると早食い防止にも役立ちそうです。でも塩分が多く含まれているので、食べすぎにはくれぐれも注意してください。 珍味のうちに入るのでしょうか、ジュンサイとトンブリも秋田の名産品です。 子どもたちを対象にした、地元での料理実習で、私はトンブリと米(秋田小町)を野菜サラダに加えて、ライスサラダを作りました。子どもたちは、このサラダの見かけに驚いたようです。しかし、おいしかったという評判をいただきました。 私は、*地産地消を各地で広める運動をしているのですが、さすがに、秋田の子どもたちはトンブリを知っていました。でも、トンブリが、畑のキャビアであるということは知りませんでした。トンブリは、ほうきに使う材料となるほうき草の実です。この実を煮て、外皮をとりのぞいたものなのです。 栄養価で特筆すべき点は、カロチンと食物繊維が多く含まれ、低カロリーであることです。その他、ビタミンやミネラルも少しは含まれていますが、食感を楽しむ程度のものと思ってください。 ジュンサイは、スイレン科ジュンサイ属の多年生水生草木で、水のきれいな池や沼に自生しています。4月〜6月上旬に採取したものを一番芽といい、最上級のジュンサイになります。今年はラッキーなことに、私は生で食べることができました。 茎の先端にある若葉が、ゼリー状の粘着物質に包まれているのですが、その口あたりがなんともいえない歯ざわりですね。このおいしさが、好まれる理由だと思います。 この粘着物質は、ガラクトースなどの多糖類なのですが、あまり栄養素を含んでいませんから、あくまでも嗜好品として食してください。
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●もりの・まゆみ 長崎県佐世保市生まれ。女子栄養大学栄養学部卒業後、同大学栄養クリニックで20年間、生活習慣病などの食事指導にあたり、講師を勤めた。92年、栄養と健康の指導を目的とした(株)バイワネルを設立。企業の栄養指導コンサルタントほか、雑誌、イベント、ビデオの企画やTV、ラジオ、執筆活動、講演会などで食育活動を行なっている。主著に『いただき! 食べ物パワー』 『高血圧が気になる人の食事』『おいしく食べてコレステロールをみるみる下げる食事』『おいしく食べて糖尿病をらくらく治す食事』ほか多数ある。 |
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アジアンスイーツで夏を克服 自家製の タピオカに挑戦してみよう! |
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澱粉からできた夏むきのデザートは、体力維持にとても役立ちます。とくにアジアンスイーツは低脂肪でカロリー控えめですから、ダイエットが気になる若い人にもおすすめです。ワラビ餅やクズ餅、クズキリ、クズ桜、クズ饅頭、そしてタピオカなどです。 最近、人気のブラックタピオカは大きめの形ですが、白い小さなタピオカもあり、冷凍品や乾燥品が売られています。 濃いめに入れた紅茶に、コンデンスミルク(加糖練乳)を加えて作った甘めのミルクティーに、水で煮たタピオカと氷を入れて太めのストローを添えれば、台湾の珍珠( タピオカの作り方は、1分くらい沸騰させたたっぷりの湯でゆでて、火をとめたら一晩おきます。それをざるにあげて水気を切ります。さらに、たっぷりの湯で透明になるまで5〜10分ゆでます(タピオカの大きさで時間は異なる)。透明になったら、ざるにあげて冷水で荒熱をとり、水気を切る。 できあがったタピオカをプリンの具に入れたり、アイスクリームにのせたり、黒蜜をかけたり、それぞれのお好みで召し上がってください。蜜マメやあんみつに入れるのもよいでしょう。 |
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