日本人のしっとりとした、美しい釣りの風景が消えてしまったのは、いつ頃からだろうか……。 |
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真ダイ=姿、形、色、どれをとっても美しい。宝石のように海中からキラキラと輝きながら水面に浮きあがってくる。船釣りの王者である
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釣り博の会場を歩きまわってみて気がつくのであるが、各メーカーのブースには、必ずフィールドテスターなる名人と呼ばれる釣り師がいる。ひな壇から一般の人々に、「俺のハウツー通りにやれば、必ず釣果が得られる。大物も釣れる。だから、この釣り竿、このリール、この糸、このエサを使って、俺のいう通りに釣りをしなさい」と得意げに、そして、呪文のように繰り返し、がなり立てている。 そんな中に一人でもいい、古来からの日本の伝統的な釣りの文化について、語りかける人はいないのだろうか? ぼくは、釣果をあおる、その風景を遠巻きに眺めていて、癒しようのない腹立たしさだけがこみあげてきた。そして、その迷人たちに、「あなたは、釣りという文化をいったいどのように考え、認識しているのですか」と聞いてみたい衝動に駆られた。 釣果というものは、釣りの楽しみに、結果として、おまけとしてついてくるだけのことなのである。 釣果にかたよればかたよるだけ、ただ魚を殺すだけの殺生競技になってしまう。つまり、釣果を求めれば求めるほど、本来の釣りの姿から、かけ離れていくだけなのだということを深く認識すべきなのです。だから釣果など、どうでもいいことだと知ってほしいのです。 釣りとは、大きな海に小さな船を浮かべ、探りようもない何かを相手とし、一本の釣り糸を通して、自分の心の奥底を見つめるのである。あるいは、山川草木をめでながら、夕暮れせまり、また、しぐれ降る中で釣り糸をたれることができることを、この上ない喜びとするものなのです。 そのような、日常では感知できない世界に、我が身をおくことこそが至上であり、それこそが釣りの世界であると考えるべきなのだ、と私は思うのです。 |
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| 天気のいい日の堤防には親子連れや子どもたち、オジさんたちが集まってくる。ここには釣りのハウツーも能書きもない。 | 休日になると湖の岸辺に集まってくるメンバー。日長な一日、釣り談義を楽しんでいる。ゆったりした時空だけが流れている。 |
| ●うちだ・すすむ 1947年、静岡県生まれ。日本大学芸術学部美術科卒業。 日本における魚のイラストレーションの第一人者。 美術出版社やグラフィック社から画集を出版。 アメリカ・モンタナ州にあるフライフィッシング博物館に、 日本人で唯一の作品が所蔵されている。 平成11年、NHK BS放送で西山徹氏との九頭竜川での サクラマス名人対決が放送され話題となる。 魚を描くには、釣る!! 見る!! さわる!! が一番大切だと思っている。 東京イラストレーターズソサエティ(TIS)会員 |