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食べるだけで元気になる食事学 - 森野眞由美

怖い生活習慣病を防ぐために食生活は3つの「あ」に要注意

病気が突然やってくる
メタボリック・シンドローム
ビール腹の肥満形は要注意

 「メタボリック・シンドローム」という言葉をご存じですか? 知らないという方も、この状態の疑いはあるかもしれませんよ。
 昨年の4月、日本肥満学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会など、8学会が合同で「メタボリック・シンドローム」の診断基準を発表したのです。
 メタボリック・シンドロームとは、中高年者が発症しやすい動脈硬化が原因で心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす成人病が、若年層にまで広がっている現象をいいます。
 日本人の三大生活習慣病は、「動脈硬化」「糖尿病」「高脂血症」ですね。血糖値やコレステロール、血圧など個々の検査値はそれほど悪くなく、ちょっと高い程度の、いわゆる要注意であっても、これらが重なる状態を「メタボリック・シンドローム」とよんでいるのです。
 それぞれの検査値は、それほど悪い状態ではないのに、複数の項目が要注意という人に、心筋梗塞などを引き起こす例が増えているからです。
 つまり、まだ要注意状態なのだから、と気をゆるめていると、病気が突然やってくることになるのです。
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 体型がビール腹といわれる、内臓脂肪肥満(りんご型肥満)タイプの人は、高エネルギー、高脂肪の食事が原因です。これでは脂肪が蓄積して、糖代謝や脂肪代謝に異常をきたします。
 こうした体型の人は、インスリンの出が悪かったり、または効き目が悪くなったりして、メタボリック・シンドロームの状態があらわれてしまうのです。表をみてください。
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illustration 所 ゆきよし

脂っこいもの、甘いもの、 アルコールのとり過ぎは危険信号まず歩くことから始める

 診断基準では、内臓脂肪がメタボリック・シンドロームの鍵となっています。ウエストが太い人は、病院へ行って、調べてみましょう。
 こうした肥満タイプの人は、油っこいものやアルコール、甘いもののとり過ぎが問題なのです。だから、3つの「あ」に注意した食生活を心がけてください。そして、よく歩くことを実践してください。内臓脂肪は、運動することで落としやすいからです。
 寒い季節ですから、血圧の高い人は、体が冷えないように注意して、歩くようにしましょう。
 中性脂肪を減らすには、アルコールを適量にすることが必要です。ビールの場合は1日350ml1缶か、中ビン1本くらいが目安ですよ。飲みすぎたら、翌日は飲まないようにコントロールしてください。
 HDL(高比重リポたんぱく質)コレステロールは、動脈硬化を予防するコレステロール(善玉)です。歩いたりして、運動すると上昇します。
 塩分は1日10g以下の摂取を心がけるべきですが、血圧の高い人は、2割くらい減らすことが望ましいのです。うどんやラーメンの汁を残す、漬け物や塩から、佃煮など、塩分の多い加工品なども減らしましょう。
 1日に野菜350g、くだもの200gを食べると、カリウムや食物繊維が摂取できますから、塩分を体外に排出する働きが期待できます。そして、血糖値を下げるには、よく歩き、規則的に、適切な量の食事をすることが一番効果的なのです。

腹八分目はあてにならないパンの主食よりご飯を主食にもう一度、和食を見直そう

 サラリーマンの食事調査で、気がついたことがあります。太っている人が「腹八分目で食べている」と思っている食事は、じつは、ほとんどの人が食べすぎだったことが実証されました。
 つまり、栄養価計算をしてみると、適正量の2200kcalをはるかにオーバーしていたのです。自分に甘い! という結果でした。だから、内臓脂肪を減らしたいという方は、「腹七分目」くらいに設定してください。
 パンが主食になると、おかずが比較的簡単に作れるものが多いこと、あるいは、おかずがなくても食べられるので、栄養がかたよりやすくなります。パンにバターやジャムを塗るだけでも、美味しく食べられるからです。
 ご飯を主食にすると、みそ汁や焼き魚、シラスおろし、納豆など、手早くできる料理であっても皿数が多くなり、あと片づけがめんどうだと思う人もいるでしょう。
 また、ご飯よりパンのほうが、のどの通りがよいと答える人もいました。しかし、簡便性ばかりを追求していていいのでしょうか?
  ご飯食、つまり、和食にすると脂肪を控えることができます。野菜、魚、大豆、海藻、キノコなど、低エネルギーで食物繊維が摂取できるという特長があるからです。
 ある実験において、エネルギー量を同じにして、ご飯食(おにぎり、卵焼き、豆腐とジャガイモのみそ汁)と、高脂肪食(マフィン、ハムエッグ、パンナコッタ)を食べた結果です。
 朝食後のエネルギー消費量は、ご飯食が高く、熱産生が増大します。熱産生とは、食事をとることで起こるエネルギー消費のことです。これが体温を上昇させて、エネルギーを放出するのです。
 満腹感は、ご飯食のほうが高く、しかも食後3時間を経過しても、満腹感が維持されていました。
 おなじエネルギー量でも、ご飯食は、かさがありますが、高脂肪の洋食はフワフワしたものや、やわらかいものが多いので、あまりかまなくてもすんでしまうからです。だから、満腹感に欠けるのでしょう。
 このさい、改めてご飯、和食の良さを見直してみたいものですね。

 
●もりの・まゆみ
長崎県佐世保市生まれ。女子栄養大学栄養学部卒業後、同大学栄養クリニックで20年間、生活習慣病などの食事指導にあたり、講師を勤めた。92年、栄養と健康の指導を目的とした(株)バイワネルを設立。企業の栄養指導コンサルタントほか、雑誌、イベント、ビデオの企画やTV、ラジオ、執筆活動、講演会などで食育活動を行なっている。主な著書に、『いただき!食べ物パワー』『高血圧症が気になる人の食事』『おいしく食べてコレステロールをみるみる下げる食事』『おいしく食べて糖尿病をらくらく治す食事』など多数ある。


簡単理想の朝食三原則
(1) 雑穀入りご飯に、ゴマやジャコをかける。
(2) みそ汁は野菜、海藻、キノコを2種類入れる。
(3) 野菜を1品必ずつける。色の濃い野菜も忘れずに。
豆腐や納豆、ハムなどのたんぱく質食品と組み合わせるのもよい。

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