FUSO9月号(通巻443号)
発行 三菱ふそうトラック・バス株式会社
二十四節気のひとつである秋分。この日を境に次第に夜が長くなり、また気温もつるべおとしのように低くなっていく。秋分はまた、秋の彼岸の中日でもある。彼岸になると、東京近郊でも待っていたかのように、曼珠沙華が茎をのばして花をつける。彼岸に合わせて律儀に盛りを見せるため、別名「彼岸花」と呼ばれるこの花も、近年開花の時期がずれてきているという。自然に敏感な植物や動物たちは、環境の異変に気付いているようだ。

未来への遺産・美しき日本の自然
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京都美山、秋色に染まる日本農村の原風景(京都府南丹市美山町)
 美山町には日本農村の原風景が残っている。京都府のほぼ中央に位置し、2006年1月1日から園部町、八木町、日吉町、美山町が合併し南丹市となった。それでも美山町の風景が変わったわけではない。
 茅葺き屋根の民家は、美山町北に集中する。北には50戸の民家が建っているが、そのうち38棟が茅葺き屋根である。集落での茅葺き家屋数では、岐阜県白川村萩町、福島県下郷町大内宿に次いで全国第3位(南丹市全域では250棟で全国第1位)で、その歴史的景観の保存が評価されて1993年、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された。
 町の中央を由良川の源流である美山川が流れる。三方を三国岳、頭巾山、長老山など800〜900mの山々にかこまれ、自然豊かな田園風景がひろがる。黄金色に色づきはじめた稲穂が風に揺れ、秋桜が風と戯れていた。
 美山への交通は決して便利とはいえない。京都駅からJRバス周山行きに乗る。周山で市営バス静原行きに乗り換え、安掛でもう1度乗り換える。乗り換えを含めると約3時間の旅だ。それでも下校の高校生が乗ってくるたびに、運転手さんは「お帰り」と声をかけ、生徒も「ただいま」と応える光景には、秋色に染まった美山のように爽やかな風が吹いていた。(写真=室田康雄)

季節の花図鑑
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●サフランモドキ(ゼフィランサス)

 サフランモドキの「モドキ」は、辞書を引くと「…に似た、…に似ている」とある。サフランモドキは、かつてサフランとよばれていた時代があった。日本へは江戸時代の弘化2(1845)年、観賞用として渡来し、サフランとよばれていたのである。パエリアなどで食用染料として用いられる本物のサフランが渡来したのは、少し遅れた文久年間(1861〜63)だった。渡来以来、間違ってサフランとよばれてきたこの花は、明治7(1874)年にサフランモドキと改められた。似ているが別物という意味だ。いい加減である。
 学名のゼフィランサス(Zephyranthes)は、ギリシャ語で西あるいは西風の花、または、その神の名を意味する。西半球由来の花だったからである。植物学者もなかなかの詩人ではないか。
 サフランモドキは、秋から初冬まで咲き続ける、白いタマスダレと同じヒガンバナ科ゼフィランサス属で、仲間はアメリカを中心として西半球に数10種が自生している。
 晩夏から仲秋にかけて、花茎を20〜30cmほどすくっと伸ばし、6弁の鮮桃色の花を上向きに咲かせる。愛らしい花の姿からは想像できないほど強靱で、暖地の人家周辺では野生化し、1度咲くと手をかけずとも毎年咲いてくれる。花は1〜3日で萎れてしまうが、次々と咲き続けてくれるのがうれしい。同じ仲間のタマスダレ同様、雨が降ったあとに花茎が伸びて開花する。ちなみに、本物のサフランは、アヤメ科でクロッカスの仲間。淡紫色の花をつけ、細長く伸びた赤色の雌しべが特徴。(写真と文・木代 圭)

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