フェアウェイの旅人 ROUND2 文・羽川 豊 2
たとえ勝ちが難しくても引き下がらないで戦う。そういうゴルフを日本人選手にはして欲しい。

外国人選手とのパワーの差を埋める
近道は、アプローチやパットを磨くこと。

今年の試合数も残り少なくなって、大詰めといった感じだね。今シーズン、活躍が目立っている男子プロの日本人選手は、片山君、谷口君、そして今田君だろうか。各選手の頑張りは、とてもよくわかる。でも、メジャー優勝となると、そう簡単にはいかない。やはり、パワーという面で日本人選手は外国人選手に劣っているからだ。こればかりは、どうしようもない。

アメリカの洋芝は、難しくて粘っこい。その芝をラフから打つ能力というのは、技術じゃなくパワー。それが顕著に現れたのが、USオープンだろう。カブレラが、自分の持ち味であるパワーで、他の選手を押し切って優勝した。通常、ボギー、ボギーで勝てる試合は、そうあるものではない。でも、ああいう可能性を外国人選手は誰でも秘めている。パワーのない日本人選手にはそれがない。だから、試合前のコメントでも、「予選を通るだけでいい」なんて弱気になってしまうのだ。

パワーで劣っているのだから、一番可能性があるアプローチやパットといった小技を、もっと磨いて欲しいと思う。東洋一のマジシャンとアメリカ人から言われた、青木さんのように。セカンドを打つ。おそらくその瞬間からもう次のパットは入るという感覚が、当時の青木さんにはあったのだと思う。僕も調子がいい時に、そんな感覚を味わったことがある。敵の攻め方もまったく気にならない。スムーズに手が動き、確実に入る。そんな感覚を、今の選手にも持ってもらいたい。アメリカ人から東洋一と呼ばれるプレーヤーは、今の日本にはいない。最近の日本の男子選手は小粒になっちゃってる気がして、もったいないな。優勝が難しくても、引き下がらないで戦って欲しい。タイガーのように、観客をオーッと唸らせるプレーをしてこそプロ。ナイスショットじゃダメだ。本当にすごいプレーを観たとき、人は声も出ないはずだから(笑)。

ここぞという場面で力を発揮させる。
ゴルフはあがり3ホールが大切。

写真
今田竜二プロ 写真提供/AFLO

女子プロについては、技術面でのレベルアップが大きな課題だろう。女子は外国人選手と日本人選手にパワーの差はほとんどない。だから、技術を磨けば海外で通用するはずなのだが、勝てない…。明らかに技術面が劣っているから。日本の大会はコースセッティングが甘い。難しいセッティングをしてしまうと、競った試合にならないからね。しかし、ある程度ゴルフの上手い人ならば、「あのアプローチは見てられない…」と、レベルの低さがわかってしまうはず。女子ゴルフは、今は人気があるかもしれないが、このままでは飽きられてしまう。だから、コースセッティングを難しくして、その中で選手を競わせないとね。

後は、体作り。最近の女子選手には、驚いてしまうほど細い子が多い。福嶋さんや岡本さんのように一時代を築くような昔の選手は、皆しっかりと体を鍛えているから、基礎体力ができていた。ゴルフは4日間の長丁場だから、1日だけ調子が良くてもダメ。大切なのはあがり3ホール。ずっとパープレーで来ていても、最後にパー、パー、バーディで上がればアンダーパーになる。じっと我慢をして、ここぞという場面で力を爆発させる。こういうのが、いいゴルフで、それには、体力と精神力の両方を鍛えなくてはダメ。

現在、日本人選手のメジャー優勝は、とても難しい状態。ただ、一番近い場所にいるのは、今田君ではないだろうか。惜しくも優勝は逃してしまったけれど、AT&Tクラシックでのプレーはとても良かった。プレーオフで池に入れてしまったけれど、僕はあのショットが一番良かったと思っている。勝負時を見極めることが大切だと前回も書いたけれど、まさにあのショットがその時。あの切羽詰った中で刻んで逃げていたら、一生勝てない。あれがまだスプーンでラフから攻めて、ほんの3ヤード右に行っていたらナイスショットだった。アメリカツアーというのは、そこの紙一重の差なのだ。数パーセントでも可能性があれば、そこを突いていかなければ、世界では勝てない。

今年は調子が良かったが、今田君だって来年はうかうかしてはいられないよ。油断していたらシード落ちすることだってあり得る。アメリカのレベルというのはそれぐらい高いわけ。シードを取るために、必死にならなければ絶対にムリ。それぐらいワンストロークの凌ぎ合いがすごい。だからこそ、その緊張感が観ている人の心を惹きつけるのだろう。

ゴルフは一度調子が狂い始めると、何をやっても悪くなる。最終的には占いに頼りたくなるぐらい(笑)。何にすがっていいのかわからなくなるんだよ。僕も試合中に腰痛でひっくり返ったことがある。でも、頑張らなければいけないから、無理してプレーするわけ。すると、当然スイングは悪くなる…。プレッシャーも一人ではねのけなければならないし、勝てなくても何の保証もない。シーズン中は胃の痛くなるような思いをして、選手は頑張っているの(笑)。だからこそ、思う通りにショットが打てた時は、何ともいえず楽しいのだけれどね。


HAGAWA's 1 POINT ADVICE
Question バーチャル練習場へ通うか迷っています。
効果はあるのでしょうか?
東京都/山岡 達也さん・34歳
Answer 自分のフォームを見るという点では、
通ってもいいと思いますよ。
バーチャル練習場が、近頃は流行っているみたいですね。上手くなるためのきっかけをつかみたいという人が多いからでしょうね。それに、今は場所がないから、広い練習場が少なくなっているしね。ただ、バーチャル練習場などが流行ると、形ばかりにとらわれてしまいがち。どんなにスイングの形がキレイでも、必ずそういう人が上手いとは限らないですから(笑)。こういうものが流行ると、ゴルフがマニュアル化して面白みに欠けてしまう気がする。それに、バーチャルの世界だと、どこを直せばいいかはわかっても、どう直せばいいかはわからない。やはり、「アドレスした時に、もう少し肩を左に」とか、「バックスイングをややアウトサイドに振り上げて」など、直すべきところをしっかりと指導してくれる人がいたほうがいい。バーチャル練習場は、自分のスイングを客観的に見られるという点では、試してみる価値はあると思います。とは言え、上手くなるには、やはり練習あるのみです(笑)。

写真 はがわ・ゆたか
1957年12月8日、栃木県出身。180cm、78kg。
日本オープン、日本シリーズなど国内6勝。1982年にはマスターズを15位でフィニッシュ。「世界のレフティ」と呼ばれる。現在国内外メジャートーナメントの解説を始めとして、NHKやテレビ朝日などで幅広く活躍中。セントラルスポーツ顧問。



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