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食べるだけで元気になる食事学 34 森野眞由美 管理栄養士
●動脈硬化の原因になる…… 飽和脂肪酸とトランス脂肪酸のとり過ぎは要注意!

ニューヨークやデンマーク、カナダでは使用規制や含有量表示が義務づけられる 脂肪の多い肉やバター、生クリーム、それらを材料にして作ったケーキやクッキーなどの洋菓子には、飽和脂肪酸が多く含まれています。この飽和脂肪酸をとり過ぎると、悪玉コレステロールが増加して、動脈硬化を起こす引き金になります。
 肉は、たんぱく質やビタミンB群を含むなど、たいへんよい食品です。それでも、1日に摂取する適切な量は、60〜100g程度です。
 そして、ひき肉やバラ肉、ロース肉は、いずれの種類であっても、脂肪を多く含んでいるので、なるべく控えてください。ロース肉の場合は焼くなどして、調理法で脂肪を落とす工夫をするとよいでしょう。
 最近、新聞でも問題になっているのが「トランス脂肪酸」です。これは動物性食品ではなく、一部の油脂とそれを原料にした、加工食品に含まれているものです。
 「トランス脂肪酸」は、トランス型二重結合という構造をもつ脂肪酸の総称です。これは油脂の加工工程で生じます。
 たとえば、マーガリンの材料は植物性油ですから液体です。ここに水素添加を行ない、固体にするための硬化処理をします。
 また、植物油には不飽和脂肪酸が多く含まれているため、酸化されやすく、安定性にかけます。
 それを防ぐために、水素添加を行なって酸化しにくく、品質が劣化しにくい油脂を作るのが目的なのですが、その過程で「トランス脂肪酸」が生じるのです。
 トランス脂肪酸はマーガリンやショートニング、それらを用いて作られたビスケット、クッキー、パン、揚げ物、フライ、ドーナッツ、ハンバーグ、スナック菓子などに含まれています。
 アメリカ・ニューヨーク市では、肥満や肥満が引き金で起こる糖尿病が増加していることから、2006年にファストフード店やレストランなどのメニューに、食品のエネルギーを明記するように義務づけると発表しました。
 さらに2007年には、市内レストランやファストフード店で、調理に使われる油のトランス脂肪酸の使用規制を施行しました。
 デンマークでは2004年に、カナダでも2005年に、すべての食品にトランス脂肪酸の規制や含有量表示が義務づけられています。

飽和脂肪酸とトランス脂肪酸はなぜ犯人扱いされるのか? なぜ、からだに悪いのか? 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸のとり過ぎは、悪玉のLDLコレステロールを上昇させるからなのです。心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの原因になる、動脈硬化を予防する観点から問題になっているのです。
 世界保健機構(WHO)ではトランス脂肪酸について、1日の摂取エネルギーの1%未満にすることをすすめています。平均摂取量1900キロカロリーの日本人の場合は、19キロカロリー以下ということになります。
 ある会社のマーガリンつきのパン1個は0.9%に相当していました。1日に何個も食べると、簡単にオーバーしてしまう量です。
 また、フライドチキンやハンバーガーなどの食品にも、トランス脂肪酸は含まれています。揚げ油や焼き油にショートニングをまぜて使ったり、パンにマーガリンを使っているからです。
 ということで、日本の大手メーカーでは、トランス脂肪酸の含有量低減に取り組んでいるようです。
 今年6月、内閣府食品安全委員会が発表した結果を見ると、日本人の平均摂取量のトランス脂肪酸は1日あたり0.7〜1.3g。エネルギー換算では、総摂取エネルギーの0.3〜0.6%でした。これはWHO勧告以下で、いまのところ心配はなさそうです。
 全体的にみれば、とり過ぎていないといえますが、一部の人はとり過ぎの可能性が否定できません。
 それは外食やファストフード、コンビニなどで、揚げ物や油脂を使ったお惣菜、パン、スナック菓子などの加工食品に頼りすぎている人たちです。
 天ぷら、から揚げ、フライドチキン、フライドポテト、ドーナッツ、ケーキ、タルトなど、食欲がそそられる食べ物がたくさんあります。

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illustration 所 ゆきよし

外食やコンビニ、ファストフードの常連さんは食べ過ぎに要注意! しかし、なんどもくり返し述べますが、トランス脂肪酸はマーガリンや調理用の植物油、菓子やパンに使われるショートニングに含まれています。自分の食生活をふり返ってみてください。
 日本の農林水産省は、平成17年度から3か年計画で、国内のトランス脂肪酸の摂取量を推定するための調査を行なっています。来年には、はっきりとした日本の食生活の現状がわかることでしょう。
 そして、もっとも問題になるのは脂肪酸の種類にかかわらず、その脂肪の量のとり過ぎにあるのです。気になる方は、ぜひパッケージに書いてある材料をみてください。
 ショートニングや植物油と書かれた食品は、トランス脂肪酸を含む可能性があります。
 ただし、栄養表示をみて、脂肪量がごく少量のものは心配ありません。栄養表示のないものはよくわかりません。
 もちろん、トランス脂肪酸だけが悪者ではありません。LDLコレステロールを上昇させる飽和脂肪酸の多いバター、ラード、ヘッド、パーム油(やし油)なども、しっかりチェックしてください。
 揚げ物は自宅で、魚介類や低脂肪の肉を植物油を用いて料理するのが、もっとも安心でカロリーも控えめにになりますね。

●もりの・まゆみ
長崎県佐世保市生まれ。女子栄養大学栄養学部卒業後、同大学栄養クリニックで20年間、生活習慣病などの食事指導にあたり、講師を勤めた。92年、栄養と健康の指導を目的とした(株)バイワネルを設立。企業の栄養指導コンサルタントほか、雑誌、イベント、ビデオの企画やTV、ラジオ、執筆活動、講演会などで食育活動を行なっている。主な著書に、『いただき!食べ物パワー』『高血圧症が気になる人の食事』『おいしく食べてコレステロールをみるみる下げる食事』『おいしく食べて糖尿病をらくらく治す食事』など多数ある。

ヘルシーで
美味しい自家製
コロッケに挑戦!

 揚げ物を買ってくるご家庭が増えているようですが、たまには安心して食べられる、美味しい手作りコロッケはいかがですか。食物繊維が多いオカラや、野菜を使ったヘルシーコロッケです。梅干し味のコロッケはさっぱりして美味しいですよ。衣を軽くすれば、油の吸油量も少なくてすみます。

【オカラのコロッケ】ジャガ芋はゆでてつぶし、少しさめたらオカラとまぜて、塩、コショウで調味する。オカラの分量はジャガ芋の3割程度。みじん切りのネギをまぜて形を整える。小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつけたら、油でさっと揚げる。
【梅肉入りコロッケ】赤身のひき肉にうす切りレンコン、あるいは千切りキャベツをまぜる。梅干しの種をのぞき包丁でたたいたものを混ぜ合わせる。形を作り、衣をつけて油で揚げる。アツアツを召し上がれ。

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