乗鞍岳は北アルプス(飛騨山脈)に入れられているが、遠くから眺めると北アルプスの連峰とは独立した形で御嶽と並んで立っている。乗鞍岳は主峰の剣ケ峰(3026m)を中心に朝日岳、富士見岳、摩利支天岳、屏風岳など23峰の山々が連なる総称で、長野県と岐阜県にまたがる日本百名山のひとつだ。名前は姿が馬の鞍に似ていることに由来する。
岐阜県側から乗鞍スカイラインが、長野県側からは乗鞍エコーラインが走り、日本でもっとも登りやすい3000m超級の山といわれている。ただし2003年以降、自然保護と交通渋滞防止のためにマイカーが規制されている。頂上まで行くにはシャトルバスまたはタクシーを利用する。
乗鞍山頂の畳平バスターミナルを降りると、標高2700mの風が頬に冷たい。剣ケ峰への登山道は鶴ケ池を巻き、富士見岳の裾から登る。広大な山域には、3000m級とは思えないほど多くの山上湖があり、森林があり、高原があって、変化に富んでいる。
剣ケ峰山頂に立つと石組みの木社がある。そこはもう、遮るものは何もない世界が四方に広がっていた。眼前に大きく御嶽山、遠くに美しく白山、そして限りない果てまで、山また山の重なりである。雲上に朝日が昇り始めた。刻一刻と表情を変える山脈の幻想に酔いしれるだけだった。(写真=アマナイメージズ)
5月〜7月ごろ、芝生や道端の中で小さな6弁の花を咲かせる。花の直径は5〜10mm前後だから、よほど注意しないと見過ごしてしまう。花をよく観察すると、中心の黄色い部分から外側に向かって筋状の色(脈)が延びて、3色を数えることができる。
明治20年(1887)ごろ、北アメリカから渡来したとき、小さく細い葉がサトイモ科の石菖に似ていて、庭に生えるので、この名がつけられたというが、石菖は中国産のサトイモ科の水草のことで、アヤメ科の庭石菖とは縁もゆかりもない。
漢字の名前に「菖」の文字が入っている通り、花はアヤメを連想させる。ミニチュア・アヤメといった感じで、とても可愛らしい。花をつける茎はひらたく、両側にせまい翼がある。葉は線状に細く長く延びる、といっても高さは10cmほどだ。
花の色は淡紫色または白色で、茎の頂きに星状に開くので、群生して咲いている姿は、まるで緑の芝生の中に星が降っているように見える。花は朝に開き、夕方にはしぼんでしまう1日花であるが、次々と咲き続けるので、花期が長いと錯覚してしまう。実は丸く、熟すと黒褐色で光沢がある。
園芸種として輸入されたものが野生化した説と、雑草として入ってきた種が帰化植物となったという説があるが定かではない。また、アヤメ科は全世界に約92属1800種あるといわれるが、ニワゼキショウ属は、すべて北アメリカ原産で70〜150種といわれるが、これもはっきりわかっていない。(写真と文・木代 圭)