三菱自動車の園部最高経営責任者(CEO)とエクロート最高執行責任者(COO)は本日、「三菱自動車ターンアラウンド計画」の基盤となる新経営体制と新組織及びターンアラウンド計画の進捗状況について以下の通り発表しました。
1.新経営体制と新組織について
三菱自動車では、本日(3月28日)の定例取締役会において、6月1日からの機構改革及び4月1日からの関連する人事について別添の通り決定致しました。今回の新組織では、改正決定までのスピードの速さと既存の組織や人事の枠組みを大きく超えた体制である事に特徴があります。
機構改革の狙い
- 職務分担及び個人の責任の明確化
- マネジメント階層の削減により社内での正しい情報提供及び情報収集の迅速化
- マネジメントの業務運営レベルでの権限委譲
- 全社レベルでの厳格な業務運営規則と事業管理手法の導入
- 個人の業績を反映した報酬体制の確立と全社員への適用
新経営体制と新組織の主な変更点
- 現行38名の執行役員(オーバーシーズ・フェローを含む)を29名まで削減します。これにより平均年齢は58.5歳から54.4歳となります。
- これら29名の執行役員の60%は新たな任務を与えられます。
- 管理職層を4階層とします。また管理職ポストを大幅に削減します。
- 三菱自動車における常任顧問制度は6月30日をもって廃止します。またグループ会社における会長、相談役、常任顧問制度についても6月30日をもって原則として廃止します。
- 従来、企画部門と現地レベルで行われていた業務を最高財務責任者(CFO)の下に統合し、グループ全体の財務状況をコントロールする体制を確立します。
- 取締役会とCEOを補佐する経営戦略室を新設します。
- 乗用車事業についてはCOO直轄のターンアラウンド推進室を設立し、ターンアラウンド計画のフォローを行ないます。
- 最高情報責任者(CIO)によるIT投資の一元管理を強化します。
- 乗用車の開発部門とマーケティング戦略部門を統合し、技術主導の開発からお客様指向の開発体制を確立します。
- 革新的な商品開発を推進する為、乗用車デザイン部門をCOO直轄とします。
- 世界調達・物流・間接資材及びサービス調達を一元管理する購買部門を設置し、ワールドクラスのサプライヤーとの連携強化を狙ったCOSMOS理念(Common
Supplier and MMC Operation System)の導入と併せ、購買コストの削減を図ります。
- 生産に関し、現行の地域レベルでの管理体制から世界レベルでの管理体制を構築し、生産能力の有効活用を推進します。
- 世界レベルでの販売活動を可能とする為に、従来地域レベルで独立していた本部を統合します。
- バス工作部門、産業エンジン販売業務は三菱ふそうトラック・バス・カンパニーに含みます。
6月1日付で発足する新組織は別添の通りです。部レベルの再編成を含めた新組織の全容や関連する人事は正式に決定次第発表致します。
尚、4月1日付で発表した各部門の責任者は、4月1日以降6月1日の新組織発足までの移行期間もう含めて担当することになる業務範囲について決裁し、報告を受けることになります。
2.ターンアラウンド計画の進捗状況
「三菱自動車ターンアラウンド計画」は4月1日より実行に移します。この計画の立案は1月からさらに本格化し、期間がわずかであったにも拘わらず、既に多くの重要な施策を決定し、積極的に推進してきました。
この迅速な対応は、労働組合、サプライヤーやディーラー、金融機関等を含む当社の取引先との綿密で建設的な対話によって達成できたものです。
これらの中で主要な施策は以下の通りです:
2001年度の経営目標及びその具体的施策
2001年度『経常利益ゼロ以上』を達成するための、経営計画の前提条件は以下のとおりです。
前提条件
本日、公表いたしました2000年度の経常損失見通しの900億円から、2001年度の経常利益目標であるゼロ以上との関連は以下の通りです。
具体的施策
有利子負債残高
- 有利子負債水準につきましては、ターンアラウンド計画初年度の2001年度末(2002年3月)において、2000年度末見通しと同じ1兆3,500億円程度(販売金融事業3,700億円含む)の見通しであり、内事業関連部分は減少、販売金融関連部分は増加となる見込みです。
- 尚、東京三菱銀行を幹事とする協調融資銀行団との間で、総額1,500億円のコミットメントラインを設定することが基本合意されており、これを通じて、資金調達能力を強化します。
資材費低減15%
- この資材費低減は主にCOSMOS及び新たなコスト低減プログラムの導入とグローバル・ソーシングの増加によって達成されます。新コスト低減プログラムはダイムラークライスラーで導入しているコスト低減手法をベースにしたベンチマーキング及びVA(価値分析)を軸としたものです。三菱自動車はサプライヤーと協力してコストを下げ、サプライヤー自身がシステム・コンポーネント・サプライヤーとして世界的競争力を持てるように支援します。
- 3月23日にサプライヤーの代表者600人を集めた会議を開催し、COSMOSについて説明を行ないました。この場で、サプライヤーからCOSMOS導入に対する前向きな反応と理解を得ました。COSMOS及び新コスト低減プログラムを導入する事により、三菱自動車は2001年度に600億円以上の資材費低減効果を達成する事が出来ます。
固定費の削減
- ターンアラウンド計画におけるコストの適正化効果により、今後3年間で固定費が大幅に削減されます。2001年度だけでも、固定費の削減額は400億円以上にのぼります。そのうちの重要な施策の一つは、2003年度末までに行なわれる14%の人員削減です。
- 2003年度末までに削減予定の9,500名の内訳は、三菱自動車で4,000名強、関連会社(含む海外)で5,000名強です。2001年度にはグループ全体で約2,400名の削減を予定しています。
- 組織の簡素化、業務運営の効率化、事業領域の見直しやダイムラークライスラー社とのアライアンス効果によるシナジー効果などによって事業の効率化を図ります。
- 自然減の不補充、新規採用の凍結・抑制、早期退職プログラムの実施、アウトソーシング等により人員削減を行ないます。
品質水準の向上
- 商品開発の構想段階からフル生産にいたるまでの段階においては、ダイムラークライスラー社の品質システムをベースとしたクォリティー・チェック・ゲート・システムをとりいれます。これは15のチェック・ゲート(関門)を設置し、各ゲートにおいて要件が全て満たされていることが確認されない限り、次の段階に進めないというシステムです。この新しい品質チェックシステムは今年以降投入される全ての新型車に適用されていきます。
- 品質関連部門の人員増強を計画的に実施するとともに、業務処理のスピードアップと対策内容の質的向上を図っております。また市場からの不具合情報を管理する新システムとして人による判断のバラツキ、抜け防止を図る自動登録システムをとりいれ、不具合情報のデータベース化を推進しております。
- 社長直属の品質監査委員会の設置、保安品質確保が確実に実施されていることを確認する専任者である保安品質監査プロジェクト・マネージャーの設置、法務・広報等のメンバーを追加し、開催頻度を3ヶ月毎とした品質監査会等により内部監査機能を大幅に強化し、実施しております。また外部有識者による品質諮問委員会をこれまでに7回開催し、非常に有意義なアドバイスを受け、高品質に繋がる活動を展開しております。
- 販売第一線のサービス支援強化の観点からフィールドマネージャーの増強や、販売会社での問題解決力の強化し、技術レベルをアップするため、販売会社への教育機能を当社テクニカルセンターに集約し、対応窓口を一本化しました。
生産能力及び商品ラインアップのスリム化
- 生産能力を最低20%削減する為の第一ステップとして、大江工場の車体組立ラインを2001年9月末に閉鎖します。Z-Carは岡崎工場で生産する予定です。
- コアビジネスに集中するという観点から内製コンポーネントの中で、アウトソーシングすべきものがあるかを含めて、さまざまな検討を行っています。
- プラットフォームの半減他、車種数の削減を通じて開発工数とのバランスを最適化します。三菱自動車が得意とするセグメントへの有効な資源配分を行ないます。また、三菱自動車はダイムラークライスラー社との協力体制を強化し、大衆車クラスと中級車クラスのセグメントにおける共通プラットフォームの使用により規模の利益を追求します。
- プラウディア・ディグニティの生産は、5月末に終了します。お客様へのアフターサービス体制は引き続き万全を期します。
新型車の投入
- 国内市場には新世代のクロスオーバーSUVを6月に投入します。このクロスオーバーモデルの導入により、新しいセグメントへの進出と新しいユーザー層への浸透を図ります。
- また、新型の軽自動車を秋までに発売します。さらに、6車種について商品力強化を行なうことにより、商品ラインアップの強化を図ります。
- 北米では、7月に新型ランサーを投入します。
さらに国内で高い評価を得たモデルをワールドワイドに展開していきます。
将来投資
- 三菱自動車ターンアラウンド計画は、将来志向を併せ持つ計画です。特にIT、社員教育、新技術開発等の分野への多大な投資を予定しております。2001年度のIT予算は、さらに100億円以上増加します。
三菱自動車はターンアラウンド計画の迅速な実行によって、事業目標を確実に達成します。2001年度に三菱自動車はブレーク・イーブンを達成し、2002年度は営業利益率を2.5%、2003年度の営業利益率は4.5%を目標としています。
また、三菱自動車はターンアラウンド計画の実行過程において、透明でオープンな情報開示に努めてまいります。
[新組織構想図]
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