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2005年3月29日

3月29日記者会見 ポート社長スピーチ

*本文は、スピーチ原稿をそのまま掲載しております。


この度弊社の大型トラックエアサスペンションVロッド不具合の対応に関して、皆様に混乱とご心配をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。今回、Vロッドに関わる社内の技術検証と意思決定のプロセスの概要につきまして、先週金曜日にお知らせしました内容をさらに包括的かつ詳細な形でお示しできればと思います。今回の件に関して私の判断の概略は次の通りです。一連のプロセスにおきまして、弊社のクロスファンクショナルチーム(CFT)は技術検証の責任を負っております。

そして、2004年9月から今日までを通じ、クロスファンクショナルチームのプロセスへの関わりをはじめとして、社内の技術検証プロセスは非常に迅速かつ効率的に、また道路交通法および社内プロセスのルールに則った形で機能して参りました。しかし今になってみると、国土交通省(およびお客様や社会一般)への報告と注意喚起という意味では、
  1. 04年10月15日に報告を求めなれながら05年2月2日になってしまったこと
  2. 3月に入って数回報告を求められながら、漸く同月18日に報告したこと
は遅きに失したことを認めざるを得ず、当社の品質問題に関する情報の迅速な全面開示に対する皆様の高いご期待に応えるものではなかったことは否めません。

このことで、弊社の新しいプロセスと情報の全面開示へのコミットメントに対し、世間からの疑いを招いてしまいました。このような疑念を招く結果にいたったことを、厳粛に受け止め、改めてここに謝罪申し上げます。

しかし今回に関して、欠陥を放置したり、事実関係を組織的に隠蔽する意図は、当社において一切なかったことを何卒ご理解賜りたく存じ上げます。

ここで、事実関係を申し上げさせて頂きます。2004年9月22日リコール届出以降、12月中旬までの期間、4件の不具合情報が報告されましたが、それらは全て対策未実施車両でした。それゆえ、当社はこれらの不具合を2004年9月届出済のリコールの対象として扱うべきと判断いたしました。

次に、改修済み車両に最初に不具合が発生したのは04年の12月14日です。この時点で担当部門の品質管理部が調査を開始いたしました。更に、社内の技術プロセスを迅速に機能させ対応いたしました。私どもは社内プロセスに従い、この問題を調査し根本的な原因を突き止めるべく作業を進めてまいりました。

本年1月16日および17日には、改修済み車両において最初の火災が発生し、1月末のステアリングコミッティに情報が上げられました。クロスファンクショナルチームは事故後、直ちに特別調査を開始いたしました。具体的には、社内での車両検査を含め社内技術調査プロセスをアップグレードしました。

しかしながら今振り返ってみれば、これと同時にここで国土交通省に報告するべきだったと思います。案件によって、国土交通省宛の報告のタイミングをどこに設定するべきか一律では決められないものの、本件についてはこの時点でした。

そして、1月28日には、昨年9月当初のリコール対象範囲外である新規の生産車に最初の不具合が発生しました。この件につきましても、社内技術調査を直ちに開始しましたが、私自身も参加した2月上旬(2月10日)の ステアリングコミッティで新規生産車の最初の不具合事実を知らされました。ステアリングコミッティおよび定例品質会議では、不具合および現在進めております技術調査の結果をモニターしてまいりました。この間、当社では国土交通省にこの問題についての報告をしておりませんでしたが、これは、根本的原因を明らかにすることが出来ていなかったからです。

3月9日火災事故が発生し、塩澤本部長より、技術的な問題の可能性があること、また、生産車も調査の必要があることが、私に18件の不具合発生事例の纏めとともに報告され、調査作業をスピードアップするよう指示しました。3月17日、私はステアリングコミッティで、原因究明と対策促進を的確にするように厳しく指示いたしました。3月18日、当社は、それまで報告していなかった22件の不具合について国土交通省に詳細を報告いたしました。3月25日に不具合について公表いたしましたが、それ以前は対策効果の検証作業が未だ終っていなかったため公表いたしませんでした。

当社の技術的な対応及び監視作業は、過去に比べてもはるかに迅速かつ効果的に機能しておりました。先に申し上げた点については全て書類化されており、各人が当社の規定に従って行動して参りました。同時に、本件以外の未解決問題についても、常に的確な優先順位を付け、全力で取り組んでおりました。しかしながら、組織的に情報を隠蔽した意図は一切ございませんでしたが、当社が分析や解決策の策定に目を向けすぎていたことは明らかです。国土交通省への定期的な報告は、各部門の責任で行っており、通常は私の方から特別な指示が必ずしも必要なわけではございません。重ねて申し上げますが、組織的に情報を隠蔽した意図はございませんでした。また、新しいふそうとなってからは、二度と隠すようなことはありません。しかし、当社の報告が遅れたことにより、国土交通省や一般の方々にご心配をお掛けしてしまったことに対し、お詫び申し上げます。

そのことを肝に銘じ、今後当社の情報開示の方針に対する皆様の信頼を失うことがないよう、可及的速やかに再発防止策を実施いたします。まず、本日付けでVロッド対象車の出荷を停止いたします。第二に、品質・技術本部に副本部長を就任させ、「品質問題の情報管理」の責任を担い、国土交通省、お客様一般の方々、そしてメディアへの情報開示がタイムリーかつ的確に行われるよう、専任で社内の品質問題情報管理の監視に従事します。

この機能を開始するにあたり、外部専門家のアドバイスを受けて参ります。第三に、商品情報連絡書を四半期ごとに国土交通省へ報告することが4月から義務付けられることになっておりますが、当社は国土交通省のご了解を頂けるなら自主的に全ての商品情報連絡書を毎月国土交通省に報告する方針です。

これにより、外部に対し重要な問題が30日間以上未開示、または未報告のままになることは防ぐことができるでしょう。そして、この対策により、積極的に情報が開示され、隠蔽の可能性、また隠蔽の疑惑を防ぐことに繋がります。

当社の技術プロセスは、迅速且つ効率的で信頼できるものに改善されましたが、遺憾にも今回起こったような情報伝達の遅れを避けるため、更に積極的な情報開示の方針や明確な規定が必要であることを痛感致しました。多くの案件を抱え、同時に全力で進めていかなければならない状況ですが、その中でも情報開示を含めた新たな企業文化構築に対する私のコミットメントは、今後も全く変わりません。

ありがとうございました。


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