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中期経営方針を発表

国内事業の統合と、ダイムラー・クライスラー社への
グローバルレベルでの統合でお客様にとってNo.1企業に


2005年11月28日

国内連結対象販売会社26社を統合 ('06年3月)
ふそうエンジニアリングを統合 ('06年4月)
本社を川崎に移転 ('06年12月)
販売金融サービス部門「ふそうファイナンシャルサービス」の新設 ('06年1月)
DC商用車グループ内での小型トラック開発拠点に
DC商用車グループ内でのHEV技術開発拠点に

三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下「MFTBC」)は本日、中期経営方針を発表しました。

今回の経営方針の狙いは、経営の透明性と品質第一を基にお客様の「信頼回復」を推進し、徹底した「顧客第一主義」を早期に実現することにあります。国内では、全国36社の販売会社のうち連結対象26社を'06年3月1日付でMFTBCに統合します。開発分野では、これまで開発の一部を委託してきた子会社「ふそうエンジニアリング」(本社:川崎、従業員数約1,000名)を'06年4月1日付でMFTBCに統合します。これによって、'06年4月1日以降、社員総数(単体)約14,600名のMFTBCが誕生します。

昨年春の品質問題判明以来、約1年半に及び過去の品質問題のクリーンアップ作業を経営の最優先課題としてきました。今年9月末には過去の品質問題に係る98件のリコール届け出を全件完了し、第1フェーズを終了しました。この間、「企業活動の透明性」「コンプライアンス(遵法精神)」「徹底した品質管理」を3本の柱として、企業文化の改革、品質部門の組織・業務改革に取り組んできましたが、これらは企業の土台として今後も継続強化していきます。

MFTBCは'05年10月以降を第2フェーズと位置付け、“本業での基盤構築”を進めており、その基本は「顧客第一主義」にあります。これからの弊社の企業活動の原点には常にお客様の存在があります。MFTBCが目指すものは、1) 最高品質の商品の提供、2) 最高レベルのサービスの提供、3) お客様のニーズへの迅速な対応、4) お客様への高い付加価値の提供、です。

これらをいち早く実現するために、上述のとおり国内事業の統合を行い、透明性の高い“スリムでフラットな”組織を構築します。更に加えて、
 ・ 本社の川崎地区への移転('06年12月)
 ・ DCファイナンシャルサービスの一部門として販売金融サービス「ふそうファイナンシャルサービス」の新設('06年1月)
を行います。

'05年3月、ダイムラー・クライスラー社(以下「DC」)がMFTBCの85%の株主となり、MFTBCは完全にDC商用車部門の一員になりました。DCへのグローバルレベルでの統合はMFTBCの強みです。海外販売での協力だけでなく、今後は開発、サービス、生産、ITシステム、金融分野も含めグローバルレベルでの強固な協力関係を推進していきます。

MFTBCは第2フェーズで、DCとの強固な協力関係のもとで事業の基盤を強化しながら、本業での構造改革を着実に実行していきます。「国内事業の統合」と「DCへのグローバルレベルでの統合(強固な協力関係の推進)」が2本の柱となります。

ブルストラー社長・CEOは、「MFTBCの長期ビジョン(第3フェーズ)は、“お客様にとってのNo,1企業”です。お客様と社会の皆様からの信頼を回復し、最も信頼のおける企業にならなければなりません。変革を成し遂げるのは社員です。経営トップは彼らのやる気を引き出すために、人事制度や企業風土の改革を推し進めます。弊社は日本企業であると同時に、これからは新しいグローバル企業になっていかなければなりません。私はCEOとしてこの変革の舵取りをしていきます。」と述べています。

1. 第1フェーズ('04年〜'05年)

過去の品質問題のクリーンアップ作業を経営の最優先課題として取り組み、今年9月末までに届け出た98件のリコールの実施率は11月下旬時点で約70%です。Vロッドも含んだ12件の最優先案件は約95%以上に達しています。

今後、1) お客様への継続的なコンタクト、2) メカニック数の高水準確保(4千人レベル)、3) 販社への推進褒賞制度の実施、等により実施率のスピードアップを図り、新たに来年6月に98件の実施率を90%まで引き上げるように取り組みます。

それと同時に、企業文化の変革に徹底的に取り組んでいます。この変革で最も重要なことは「企業活動の透明性」です。そのために、外部の視点やルール・基準を積極的に導入しています。例えば、外部から有識者の方を招聘してふそう倫理委員会を設立し、厳格な眼で社内をチェックしていただいています。

品質管理に関しては、今年6月、品質部門のトップを副社長に格上げし、経営会議の中でも品質問題をいつでも議論できるようにしました。また、品質部門のスタッフを随時増やし、12月末には昨年3月に比べて2倍以上の約130人にします。

2. 国内販売、海外販売の見通し

国内販売は、'05年度('05年4月〜'06年3月)は前年比106%の65,000台になる見込みです。'05年4月〜9月は品質問題の影響で前年比90%の29,400台に落ち込みましたが、'05年10月〜'06年3月は10月から新型ファイター(中型トラック)を投入した効果が出て、前年比24%増の35,600台になる見込みです。

海外販売は、前年比101%の120,000台になる見込みです。これはアセアンを中心に、中近東、アフリカ等全世界各地で堅調に販売を伸ばしたことによるものです。
国内・海外合計では、前年比103%の185,000台になる見込みです。

3. 国内事業の統合

透明性の高い“スリムでフラットな”組織を目指し、徹底した「顧客第一主義」を実現していくために、これまで以上に開発・生産・販売・サービス・品質の各部門の距離を縮め、市場の情報、経営陣の方針が末端まで迅速に伝わる機動力のある事業体にするために、事業の統合を推進します。これによって現在37社ある国内連結対象企業は27社減の10社になります。
(1) 連結対象販売会社26社の統合
現在、全国ふそう系販売会社は36社あり、そのうちの26社が連結対象になっています。26社で234拠点、9,000名の従業員がいますが、'06年3月、MFTBCに統合します。これによりMFTBCの社員総数(単体)は、約13,600名になります。

この統合はお客様に多くのメリットをもたらせますが、例えば広域化する輸送事業に対応し、お客様は、どこにいてもレベルの高い、均質なサービスを受けることが出来るようになります。また、この統合はコスト削減などの経営効率の向上にもつながります。事務管理部門の統合による人員の再配置、各部門の統合によるコストの削減等が可能となります。

(2) 販売金融サービス部門「ふそうファイナンシャルサービス」の新設
これまでお客様への金融サービスは多数の金融会社が行ってきましたが、'06年1月、ダイムラー・クライスラーのサービス事業部の一部として、ふそうのお客様専門の販売金融サービスに特化する「ふそうファイナンシャルサービス」を設置します。DCグループにおける販売金融サービスを担当するDCファイナンシャルサービス(本社:シュツットガルト)の一部門として、その専門知識や資金力を活用していきます。

(3) 関連子会社「ふそうエンジニアリング」の統合
開発分野では、主にコンポーネント開発の一部を担当していた「ふそうエンジニアリング株式会社」を'06年4月、MFTBCに統合します。この統合により最高の商品作りと、お客様のニーズに迅速に対応できる強力な開発部門が誕生します。
ふそうエンジニアリングからは約1,000名の従業員がMFTBCに移動します。

(4) 本社の川崎地区移転
現在品川にあるMFTBCの本社を'06年12月を目途に川崎周辺のオフィスビルに移転します。これによって、従来川崎地区(開発部門、生産部門、品質部門)と品川地区(営業部門、管理部門)に分かれていた機能を川崎地区に集結させ、コミュニケーションと業務効率の飛躍的な向上を図ります。


4. DCへのグローバルレベルでの統合

第2ステップにおける重要な柱のひとつは「DCへのグローバルレベルでの統合」です。世界販売ネットワーク、研究開発の分野では既に成果が出始めていますが、今後は購買、生産、財務、IT、コミュニケーション、アフターサービスに至る全ての分野での成果が期待されます。
(1) MFTBCの役割
大きく3つの役割があります。
1) 現在アジアで高い競争力を持っています。DCのバックアップを受けながら、アジアにおいて販売を強化していきます。DC商用車部門のアジア・アセアンでの柱になります。
2) 2番目は小型トラックです。近い将来、DC商用車グループでの小型トラック開発及び生産の中心拠点となります。
3) 3番目はハイブリット技術の開発です。MFTBCは来春、日本で小型トラックキャンターにHEV技術を搭載して発売しますが、グループのHEV技術開発の中心拠点となり、開発のリーダーシップを発揮します。

(2) 開発分野での協力
DC商用車グループでは、共同で次世代の大型ディーゼルエンジン開発に携わっています。世界各地で環境基準が厳しくなっている中、次世代車両の開発コストの半分はパワートレインが占めており、このプロジェクトは非常に重要です。
'05年9月、DC本社にオフィスを新設し、MFTBCから20名の開発者が参加しています。

(3) 海外販売での協力
来夏から北米でDC商用車グループのフレートライナー社の子会社であるスターリン社に小型トラック「キャンター」のOEM供給を開始します。欧州では、多くの国でDC販売網を使って「キャンター」を販売していますが、今後有望な東欧諸国でもこの動きは活発になると見込まれます。その他、中東のドバイではサービスや部品事業で協力を開始、マレーシアでは卸売りシステムの活用をする等、海外販売分野でも様々な新しい試みが始まっています。

(4) その他分野での協力
開発、海外販売の他に、システム、プロセスの分野でも協力は進められています。例えば、新しい「商品開発システム(Fuso Product Development system)」はDCのシステムをもとに作られました。これにより、DCの高品質標準が全商品開発プロセスで確実に適用されます。


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