運輸省の行政処分にともなう改善対策について

当社は、平成12年9月8日付で、運輸省より当社のリコール関係業務に関する一連の行為について行政処分を受けると共に、 警告文書による厳重注意及びリコール業務適正化の指示、 併せて型式指定等の申請に関して品質管理業務が適正に実施されているか否かについての確認を求められました。

当社は、直ちに品質問題対策委員会を設置し、再発防止を目的に開発・生産・販売・サービスの全プロセスにおける品質レベル向上に向け、 改善策を検討して参りました。 併せて、社外メンバー主体の品質諮問委員会を設置し、当社の改善推進対策を第三者的立場からチェックし、 よりお客様の視点に立った対策の実現を推進しております。 このような状況の中で、本日「リコール関係業務の適正な実施に対する改善対策」に関するご報告等を同省に行い、受理されました。

今回の問題では、お客様はじめ関係各位の皆様方に多大なご迷惑をお掛けしたことについて、大変申し訳なく深く反省しております。

当社と致しましては、同省から下されました行政処分を厳粛に受け止めると共に、信頼回復に向けて全社一丸となって、 今回提出した改善対策を確実に実施し、業務改善に邁進して参りますので、よろしくお願い申し上げます。

I . リコール関係業務の適正な実施に対する改善対策

  1. 品質関連部門を強化するための組織改正

    <乗用車関係>

    1. 品質保証担当職制として品質保証本部を新設し、今後の人事面・能力面の増強を図る。
    2. 品質保証部を市場品質部と改称し、市場情報の収集力強化とその処理の迅速化を図るため、 乗用車国内営業本部乗用車サービス部からサービス技術業務を移管する。
    3. 品質関連部門すなわち品質保証本部、乗用車サービス部、乗用車技術センター等の人員増強を計画的に実施するとともに、 業務処理のスピードアップと対策内容の質的向上を図るため、市場品質関連業務の担当者の一部を、 順次乗用車技術センターのある岡崎地区に集約する。

    <トラック・バス関係>

    1. 三菱ふそうトラック・バスカンパニーは、技術品質部を廃止して、品質統括部を新設し、品質関連業務を集約する。

  2. 内部監査機能の強化

    1. 社長直属として「品質監査委員会」を新設し、品質関連職制における品質管理・サービス体制および業務遂行状況の監査を全社的に実施する。
    2. 保安品質確保が確実に実施されていることを確認する専任者として、保安品質監査プロジェクト・マネージャー(保安品質監査PM)を新設する。
    3. リコール監査会は従来の反省も踏まえ、法令遵守の観点から法務・広報等のメンバーを追加するとともに、開催頻度を3ヶ月毎とし、 監査実施状況を執行役員会議に報告する。
    4. 三菱ふそうトラック・バスカンパニーについても、上記 ii および iii に準じた体制とする。
    5. 今回の一連の品質問題の改善・推進をモニターする会議体として、社外メンバー主体の品質諮問委員会を9月1日に設置し、 原則1回/月の開催で1年間活動する。
      第1回品質諮問委員会(9月22日開催)では、

      1. 今回の品質問題に対する具体的対応策の実施促進
      2. 社員の志気低下に対する活性化策
      3. お客様の視点に立った開発・生産過程の強化

      等について提言があった。 なお、品質諮問委員会からは、品質問題対策委員会が策定した品質問題の対応策について承認を得ており、今後は、 各部門で進めていく実施状況フォローと、定着状況の評価を重点に活動していく。

  3. 市場品質情報処理システムの改善

    1. 商品情報連絡書を一貫番号体系による管理に変更し、情報の抜け防止と確実なフォローを実施する。
    2. 商品情報連絡書のフォーム等を見直すとともに、品質フィールド・マネージャーの増員を行い、販売会社の指導の徹底、 サービス・スタッフの保安品質意識向上のため、更に教育を強化する。
    3. リコール・改善対策等の検討を要する品質不具合(重要不具合)の基準を明確にし、機械的に登録するシステムを新規に構築することにより、 人による判断のバラツキ・抜けを防止する。 また、重要不具合の処理は、品質対策会議(旧クレーム対策会議を改組・強化)、さらにはリコール検討会で順次検討するが、 併せて今回新規に構築した登録システムで進捗を管理する。 リコール検討会での検討の結果、リコール対象とならない登録済み重要不具合については、リコール監査会で検討経緯を監査する。
    4. 重要不具合を検討する会議体は、決裁者のランクアップを図り、処理の迅速化と抜けの防止を図る。
      品質対策会議: 品質保証本部副本部長決裁
      リコール検討会: 品質保証本部長決裁

  4. 開発・生産プロセスにおける品質向上対策

    1. 設計・生産・部品メーカーが一体となった保安品質確保策(部品スペック・試験方法等)の見直しとその確実な実施を図る。
    2. 車種毎に開発初期段階から量産に至る各段階に Quality Check Gate(※)を設け、品質の確保を図るとともに、 保安品質監査PMによる監査を実施することによって品質確保体制の強化を図る。
      ※ Quality Check Gate とは、開発から量産までの各段階における品質確認の関門
    3. 購入部品の品質確認・向上のため、取引先に対し現在は品質部門による社外監査を実施しているが、保安品質に関しては、 設計者も加えて保安品質巡回パトロールを実施する。

  5. 法令遵守意識の徹底

    社員意識調査結果および社員相談室(9月1日付新設)での相談事項等に基づいて、従来から実施してきた企業倫理・法令遵守教育を見直し、 全社的に法令遵守意識を再徹底する。

  6. お客様サービスの向上

    お客様の信頼回復を図るため、次のサービスを実施する。

    1. 「愛車無料チェックサービス」を乗用車の全ユーザーに対して、平成12年11月から平成13年6月まで実施する。
    2. 「3年間無料点検サービス」を、平成12年10月から平成13年3月までの新しい乗用車購入者に対して実施する。

II . 型式指定車に係る業務適正調査報告

  1. 調査内容

    型式指定等に関する品質管理体制について次のとおり調査を行った。

    1. 調査対象および台数

      平成10年10月1日〜平成12年9月10日までに水島・名古屋・東京各製作所で生産された型式指定車全車種(31車種)、 合計1,035,791台

    2. 調査項目

      1. 完成検査等品質管理が確実に行われているか。
      2. 型式指定等に関する必要な手続きが確実に行われているか。

  2. 調査結果

    型式指定車等に係る品質管理体制を調査した結果、以下の是正事項があったが、現在は措置済である。 また、これ以外は特段の是正事項はなかった。

    1. 完成検査関係

      完成検査のうち、抜取検査台数が一時期社内計画に未達(排ガス:15台、騒音:5台)であったので、不足分を追加して実施し、10月19日完了した。 今後、現状の品質レベルを充分勘案して、抜取台数の適正化等社内標準を見直す。

    2. 型式指定等手続き関係

      1. 制動装置の一部の部品について構造変更承認が必要であったことが判明したので10月10日に申請を行い、10月16日に承認を得た。
      2. 型式指定規則第6条届出等の業務において完成検査チェックシートの変更届出(1件)が未届出であったので、10月17日に届出した。

    今後必要な手続きの確実な実施を期するため、社内の関係部門間でより一層密接な連絡を行う。

以上

平成12年10月20日

三菱自動車工業株式会社

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