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    感情をデザインする:三菱ふそうの水素トラックが描くモビリティの未来

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三菱ふそうの水素トラックを紐解くーデザイン編

性能、価格、品質が均質化する時代において、ブランドを形成する最後の鍵は「情感への訴求」です。それは、ドライバーがハンドルを握るときの誇り。車両購入を決断する側の信頼。そしてそれをもとに築かれる関係性。こうした感情を形にするのが、デザインの力です。

Japan Mobility Show 2025」で三菱ふそうは、水素燃焼エンジンで駆動する大型トラック(H2IC)、ならびに液化水素を燃料とする燃料電池大型トラック(H2FC)を初公開しました。異なる技術を搭載する2台ですが、共通する目的は革新性の可視化により、お客様の記憶に残り、買ってみたいと思っていただけるトラックを提供することです。

2台について詳しく読む:H2IC・H2FCで拓く水素トラックの未来

H2車両2台の制作裏側

ブランド価値を高めるデザインの力


デザインは、単なる見た目のためにあるだけではありません。車両の第一印象を決める要素であり、路上での存在感を通じてブランドの認知度を高める「動く広告塔」でもあります。優れたデザインは、信頼を生み、注目を集め、人々の心に長きに渡り焼き付きます。

三菱ふそうにとって、デザインは戦略的なツールです。マーケティングが物語を伝えるなら、デザインはその物語を一瞬で「見せる」役割を担います。ブランド力を高め、ドライバーの皆様に誇りを感じていただけることで、選ばれる理由をつくります。

“FUSOを次の高みへ—そのためのブランド体験を創り出すことが私たちの願いです。

ベンジャミン・ナウカ | デザイン部部長


H2FCとH2ICは、三菱ふそうのサステナビリティと先進技術への取り組みを象徴する存在です。それぞれのパワートレインに合わせてデザインされた個性と思想を紹介します。

H2FC:未来を映すデザイン


H2FCは、未来を体現するモデルです。空力性能を意識した滑らかなフォルムと、先進的なディテールが特徴です。中でも注目すべきは、デジタルFUSOベルト。業界初の試みとして、グリルに埋め込まれたFUSOロゴには無限ループのような光の演出が施されています。将来的には、充填状況や緊急時の通知、ウェルカム・グッバイ演出などの機能表示も期待されます。 

グリル周辺のデザインテーマは、車両全体のグラフィックにも展開され、躍動感と効率性を表現。サイドパネルは照明付きの水素タンクが見える構成により、技術の成熟度をさりげなく主張するデザインとしました。リアバンパーまわりもフロントと調和したデザインで、統一感のある印象を与えます。

カラーリングは、Fusion GreenメタリックとObsidian Blackのツートーン。キャビンでは強いコントラストを、トレーラー荷箱部では自然なグラデーションを描いています。さらに、Isotope Limeのアクセントがエンブレム、グラフィック、シートベルト、シートのステッチに施され、クリーンエネルギーの象徴として鮮やかさを加えています。

キャビン内には、サステナブル素材を採用。再生レザーや環境配慮型テキスタイルが、テクノロジーと快適性を融合させた空間を演出します。ミラーカムシステムはAピラーとフロントガラスにシームレスに統合され、視認性と美しさを両立しています。 

H2IC:堅牢で洗練された実用美


H2ICは、より量産車に近い現実的なアプローチを取っています。耐久性と実用性を重視したデザインで、FUSOベルトは従来の形を保ちつつ、緻密なカラーラインによって強調され、車両全体のグラフィックに展開されています。

水素タンクを収めたTechTowerは、キャビンと滑らかに接続され、照明付きのサイドウィンドウから内部の技術をご覧いただけます。すべてのパネルは実用に耐える設計です。

 

カラーはH2FCと同様にFusion Green × Obsidian Blackのツートーンですが、Ignition Redのアクセントが内外装に施され、内燃機関らしい力強さを表現。マットブラックの使用比率も高く、ディーゼルトラックに通じる堅牢さを感じさせます。

キャビンにはH2FCと同様のサステナブル素材を使用し、ブランドとしての一貫性を保っています。ミラーカムは機能性を重視したデザインとし、実用性と信頼性を表現。給水素エリアも丁寧にデザインされており、細部へのこだわりが垣間見えます。

 

技術と人をつなぐデザインの役割


技術だけでは、トラックは売れません。フリートマネージャーが求める安全性や経済性に加えて、ドライバーが乗りたくなる車両を作る必要があります。ドライバーが求めるのは、実用性だけでなく、誇りや愛着を持てる車両です。そこに、付加価値を与えることができるのがデザインの役割だと自負しています。

三菱ふそうのデザインチームは、技術と感情の橋渡し役です。技術が「できること」を定義するなら、デザインは「なぜそれが重要か」「どう感じるか」を伝えます。すべての技術革新を、体験へと昇華させるのがデザインの力です。

存在感をつくる、統合されたデザイン思想


グリルからグラフィック、キャビン素材から給水素エリアまで、H2FCとH2ICのすべての要素は、三菱ふそうのデザイン思想に基づいて形作られています。これらのトラックは、単に走るだけでなく、見られる、感じられる、記憶に残る存在です。

美しさだけではなく、路上で自らを語る力、誇りを生む力、革新をブランドに変える力を持つデザイン。それが、三菱ふそうが水素時代に向けて提示する新しいモビリティのかたちです。