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    心と身体を温める、配達サービス

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トラック運転手に転職した彼と青いトラックは、町の誰もが知る存在に。彼が運ぶのは、「心地よさ」

茨城県大洗町。そこは、常に「水」を身近に感じる場所です。西には涸沼、東には太平洋があり、町の北側を那珂川が流れています。湖・川・海に囲まれた環境で育った鴨川敏明さんが、水に関わる仕事に就くのはごく自然なことだったのかもしれません。しかし、それでも鴨川さんの仕事内容は少し変わっています。

鴨川さんの現在の仕事は、温泉配達サービスの運転手。大洗町は、観光産業の発展により、ここ5年ほどで、観光客数が年間300万人へと大幅に増加しました。この変化は、鴨川さんが第二の人生を歩むタイミングと重なり、彼がトラックドライバーに転職するきっかけとなりました。

引退するまで、何十年もサラリーマンとして働いていた、鴨川さん。「以前から大型トラックを運転したいと思っていましたが、妻に『危ないからやめてね』と言われてきましたが、このチャンスに免許を取りました」と語る鴨川さん。この新しく取得した資格こそが、地元でのキャリアの扉を開いたのです。彼は、前任者から受け継いだロイヤルブルーの初代スーパーグレートに乗って、5年近く地元の温泉宿に温泉水を届ける仕事を続けてきました。

身体への深い治療効果があると言われる天然温泉。大洗町は残念ながら火山性の温泉に恵まれなかったため、約20年前に、地下550メートルから温泉水を提供するポンプが設置されました。このポンプから、住民や企業に貴重な温泉水を運ぶのが、鴨川さんの仕事です。

鴨川さんは、現地の8つの温泉宿を担当する2人のドライバーのうちの1人です。「タンクを満タンにするのに30分ほどかかるので、朝8時半にスタートして、9時に出発します」と、彼が説明してくれました。大浴場には約10,000リットル、小さなホテルには約5〜6,000リットルの温泉水が必要とされます。鴨川さんは、1日に3回から4回、慎重にこの大切な温泉水を必要とする施設に届けます。

常温で到着した温泉水は、ホテルで入浴できる温度までまで加熱されます。「温泉を利用される方は高齢の方が多いですね。冬は気温が下がりますから。」と鴨川さんは語る。

貴重な温泉水を運ぶ鴨川さんと、彼の大きな青いトラックは、地元の人たちもよく知る存在となりました。インターネットを通じてトラックの写真が配信されることも何度かありました。しかし、鴨川さんの目的は、決して有名になることではありません。「大洗町で働けることは嬉しいし、これからもできる限り、なるべく多くの力になり、温泉産業に貢献したいと考えています」と、最後に彼の強い思いを伝えてくれました。